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六甲おとめ塚温泉|住宅街の銭湯みたいなのに、加水も加温も消毒もなしのかけ流し

温泉のある場所

更年期の体がしんどかった頃、友人が「いいお湯があるよ」と誘ってくれた。家からは少し遠い場所だったし、当時の私に遠出する元気はあまりなかった。それでも「いいお湯」という言葉がなんとなく胸に引っかかった。少しだけ背中を押してもらえた気がして、行ってみることにした。

外から見ると普通の銭湯だった

六甲おとめ塚温泉は住宅街の中にある。外から見ると、どこにでもある普通の銭湯のような建物だ。「こんなところに温泉があるの?」と半信半疑のまま入った。

でもお湯に浸かった瞬間、何かが違った。肌がすべるようなやわらかさ。なんとなく体の奥まで、じわっと届いていくような感覚。「あ、これは普通のお湯じゃない」。そう気づいたとき、友人が「いいお湯」と言ってくれた意味がわかった。

加水・加温・消毒なしの源泉かけ流し

泉質はナトリウム-炭酸水素塩・塩化物温泉(弱アルカリ性)で「美人の湯」とも呼ばれる泉質。冷え性・神経痛・腰痛・肩こり・慢性皮膚病・疲労回復など、更年期の不調と重なる効能が多いと思わないだろうか。

しかも毎分480リットルが湧き出る源泉を、加水・加温・消毒なしでかけ流しにしている。実は1000ppmという高濃度の炭酸泉でもある。

私が入ったとき、炭酸の気泡はほとんど感じなかった。でも不思議と体がほぐれて、温まった感覚がしっかり残る。天然の炭酸は温度が上がると湯の中で抜けやすいことがあるそうで、感じにくくても体には届いているのかもしれない。住宅街の外観からは想像もできない、本格的なお湯だった。

立ち風呂とお年寄りが教えてくれたこと

この温泉には立って入る浴槽がいくつかある。そこにお年寄りがよく入っておられることが気になった。

毎日のように温泉に通うお年寄りは、知識として知っているわけじゃないと思う。でも長年の体感で「これが気持ちいい」「これが体にいい」というものを、無意識にわかっているように見える。だからいつも観察してしまうのだ。

その観察がきっかけで、立ち風呂の深さや水圧が体にどう影響するのかを調べてみた。更年期の体には温度だけでなく、水圧や泉質も深く関わっていることを知ったのは、そこからだった。

▷ 水圧について調べた話 → お風呂の水圧って体にどう働く?|温熱・水圧・浮力と、立ち風呂の水圧は約2倍

湯船から聞こえてくるもの

温泉で一緒になるお年寄りの会話は、ためになることが多い。長年連れ添った夫への想いや、腹が立ったことの受け流し方など、聞かせてもらったり、たまに参加させてもらったりする。

人生の先輩方が湯船で話す言葉は、ふとした一言が心に残ることがある。しんどい体をお湯に沈めながら、こういう時間に救われることがあった。温泉はお湯だけでなく、こういう場の温かさも体と心をゆるめてくれている気がする。時にはあまり聞きたくない話もあるけれど、それはそれで(笑)。

屋上の露天風呂と水風呂

露天風呂・サウナ・水風呂は屋上にある。私は露天風呂と水風呂を繰り返して入るのが好きなので、後半は屋上で過ごす。春に行ったこともあって、外の空気がとても気持ちよかったことを覚えている。体が温まってから浴びる外の風は、それだけで少し楽になる感覚があった。

建物は横には狭く、上へ上へと伸びていく独特の造り。中二階のようなスペースがあって、上の階に行くたびに違うお風呂が現れる。初めて行くとどこに何があるかわからなくて、きょろきょろしてしまう。まるで迷路のような、おもしろい建物だった。

行く前に準備しておくもの

シャンプーや石鹸は置いていないので持参が必要。受付で小さいものを購入することもできるので、忘れても大丈夫。ドライヤーは10円を入れて使うタイプなので、小銭も少し準備しておくといいと思う。

このドライヤーで、私はちょっとした失敗をした。今はお金のいるドライヤーはほとんど見かけないので、まさか有料だとは思っていなかったのだ。隣の人は使えているのに、自分の場所のドライヤーだけ動かない。壊れているのか、やり方が違うのか。しばらくカチカチやってみてもつかないので、隣の方に聞いてみた。

「10円いりますよ」。よく見ると、ちゃんと10円を入れるところがあった。周りをよく見ていなかったのだ。

そのとき手元に10円がなくて諦めようとしたら、隣の方が10円を差し出して「どうぞ」と言ってくださった。あまりに申し訳なくて丁重にお断りした。「いいですよ。気にしないで使ってください」と重ねて言ってくださったけれど、それでもお断りしてドライヤーは諦めた。今思うと、甘えさせてもらってもよかったのかもしれない。あの親切がうれしかったことは、今でも覚えている。

この温泉は、シャンプーもドライヤーも必要な人だけがお金を払う仕組みになっている。そのぶん入浴料そのものが良心的なので、私はこのやり方がいいと思っている。持っていく人には安く、必要な人にはその場で買える。最初に知っていれば、何の問題もない。だからこれを読んだ方は、シャンプーと小銭を持っていってほしい。

この「必要な人だけが払う」考え方は、サウナにもあった。

ここは入る人と入らない人で料金が分かれていて、サウナを使う場合は受付で鍵をもらう仕組みだ。温泉だけで満足できる私にとって、サウナ分を別にしてもらえるのはとてもありがたかった。無駄なく、気持ちよく入れる。

銭湯に行けない日は、家のお風呂に重炭酸の入浴剤を

銭湯に行けない日は、家のお風呂に重炭酸の入浴剤を入れています。私が愛用しているのは、BARTH(バース)の中性重炭酸入浴剤。もともと「スパークリングホットタブ」という名前だったものが、今はBARTHとしてリニューアルされています。お湯がまろやかになって、体がじんわり温まります。

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友人のひと言が、動くきっかけになった

家から遠いのでなかなか行けていないけれど、2回ともとても印象に残っている。住宅街の外観からは想像できないほどのお湯。もしこれが近所にあったら、と心からそう思う温泉だった。

更年期でしんどかった時期に「いいお湯があるよ」と声をかけてくれた友人には、今でも感謝している。しんどい時ほど、誰かのひと言が動くきっかけになる。私にとっては、あの時の友人の言葉がそうだった。

水風呂は、慣れれば入れる

この温泉で水風呂を繰り返すようになったけれど、「水風呂なんて無理」と思っている方も多いのではないだろうか。私も最初からすんなり入れたわけではない。30代の頃にはまっていた温冷浴が、今の私につながっている。

水風呂に入れるのは、私が特別なのでも根性があるのでもなく、ただの慣れだ。まずは温冷浴から始めてみると、ハードルがずっと下がると思う。

▷ 30代から続く温冷浴の話 → 【温泉とからだの記録】30代から続く温冷浴が、更年期の体を整えてくれていた

▷ 私の水風呂の入り方 → 私の水風呂の入り方|温泉で体を芯まで冷やす温冷浴のやり方

遠くから来るなら、泊まりはビジネスホテルが便利

遠くから六甲おとめ塚温泉に来るなら、神戸のビジネスホテルに泊まるのもいい。私は温泉を巡って何泊かするとき、あえてビジネスホテルの素泊まりにすることが多い。

というのも、お宿の豪華な食事が毎晩続くと、どうしても食べ過ぎてしんどくなってしまうから。素泊まりにして食事を自分で加減できると、体がずっと軽いし、宿泊費も浮く。そのぶん、いろんな温泉をはしごできる。

思えばこれは、昔の湯治のやり方に近いのかもしれない。湯治場の宿は長く滞在する前提だから、自炊ができて宿泊料も安く設定されていた。豪華な食事ではなく、質素な食事と湯と休息。調べてみて「私に合うのはこっちだ」と思ったやり方が、形を変えて今の私の温泉旅になっている。

▷ 湯治について調べた話 → 湯治とは何か|二十一日間の入り方と、私が知った昔からの考え方

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▷ こんなふうに連泊で温泉を巡っています → 温泉の連泊旅は、ビジネスホテル+日帰り温泉めぐり

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