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大阪・美人湯 祥風苑|夫がはまったぬるぬるのお湯と、気づいていなかった深い水風呂

大阪・高槻の美人湯 祥風苑の外観と屋上の露天風呂を描いたイラスト 温泉のある場所

温泉にはまりはじめた初期の頃、夫と何度も通った温泉がある。大阪・高槻の摂津峡にある「美人湯 祥風苑」だ。

とにかくお湯がぬるぬるする。夫がこのぬるぬるにすっかりはまってしまって、一時期は「温泉に行こうか」と声をかけると、返ってくる答えはいつも祥風苑だった。ほかにも行ってみたいところはあるのだけどな、と思いながら、結局毎回ついていった。あのお湯には、それくらいの力がある。

ここまでぬるぬるするお湯は珍しい

お湯に入った瞬間から、肌がぬるっとする。ローションの中にいるみたいな感触で、ここまではっきりぬるぬるするお湯はなかなかない。夫は上がってくるたびに自分の腕をさすって「ぬるぬるしてると効いてる気がする」と言っていた。ぬるぬるするのは私も同じように感じていた。ただ当時の私は、そこまでこのお湯に夢中にはなれなくて、夫の熱の入りようが少し不思議なくらいだった。

あとから調べてみたら、理由があった。ここは摂津峡花の里温泉という源泉で、泉質はナトリウム-炭酸水素塩泉。いわゆる重曹泉だ。しかもpHが9以上のアルカリ性で、重曹の成分が850mg/kg以上と、温泉の規格の2.5倍の濃さがあるのだそうだ。

重曹泉は皮脂や古い角質をやわらかくして落とす性質があるので、あのぬるぬるした感触になる。だから「美人の湯」と呼ばれる。夫の「効いてる気がする」は、実際に肌に何か起きている感触だったわけだ。

つまり夫の「効いてる気がする」は思い込みではなかったわけだ。腕をさすりながら熱心に言っていた本人のほうが、体でちゃんと分かっていたことになる。そのことは、まだ言っていない。

ちなみにここは加水はしていないけれど、加温と循環ろ過、塩素系の消毒をしている。源泉かけ流しではない。当時の私はそんなことも知らずに入っていたけれど、今の私が見ると「かけ流しじゃないのか」と少し思う。それでも源泉の濃さそのものは薄めていないので、あのぬるぬるは本物だ。

上へ上へと伸びていく建物

この温泉は、建物が上に伸びる造りになっている。

  • 1階:内風呂(主浴槽・電気風呂・ジェットバス・座湯や寝湯)、サウナ、水風呂
  • 中2階:美泡風呂
  • 2階:露天風呂
  • 屋上:大きな露天風呂と壺湯

私がよく入っていたのは内風呂と、外にある美泡風呂だった。

美泡風呂は細かい泡に包まれるお風呂で、これが本当に気持ちいい。肩まで沈むと体じゅうが泡にくるまれて、肌をなでるとしゅわしゅわする。しかも温度が低めなので、いつまででも入っていられる。何を考えるでもなくぼーっとしていると、気がつくとずいぶん時間がたっている。ここが私の定位置だった。

屋上の大きな露天風呂は、そこまで上がるのが億劫なのか、空いていることが多かった。あんなに開放感があって気持ちいいのに、なぜかみんな下の階にいる。もったいないなあと思いながら、私はいつも広い湯船をひとりじめさせてもらっていた。

上に伸びる造りという意味では六甲おとめ塚温泉と似ているけれど、あちらのレトロな面白さはここにはない。施設が新しくて古めかしさがないからだと思う。おとめ塚温泉のレトロさは独特で、あれはあれで私はすごく好きだ。

▷ 六甲おとめ塚温泉の話はこちら → 六甲おとめ塚温泉|住宅街の銭湯みたいなのに、加水も加温も消毒もなしのかけ流し

ここは、みんなで来る温泉

この温泉で面白いのは、お客さんの来方だ。

ほかの温泉だと、常連のおばあさんが一人で来ていることが多い。一人といっても、さっと入ってさっと帰るわけではない。二時間も三時間もそこにいて、顔なじみの人とおしゃべりを楽しみながら、ゆっくり湯船に浸かっている。誰かと約束して来るのではなく、行けば誰かがいる。そういう通い方だ。

でもここは違う。70代のお母さんと50代の娘さん、そこに親戚も加わって3〜4人。40代くらいのグループ。おばあさんが高校生くらいのお孫さんと一緒に、という組み合わせもよく見る。

にぎやかさは常連さんの温泉と変わらないのに、聞こえてくる話の中身がまるで違う。誰それの就職の話、親戚の集まりの相談、孫の学校の話。家で話していたことの続きを、そのままお風呂でしている感じがする。

受付の横あたりには「花の里」という食事処があって、受付のまわりはいつもいい匂いがしている。お風呂に入る前からお腹が鳴りそうになるので、あれは少し困る。上がってからみんなでごはんを食べて帰る、という流れなのだろう。家族連れが多いのも納得だ。

▷ 一人で通うおばあさんたちの話はこちら → 月に3〜5回、日帰り温泉に通うようになった|元気なおばあさんたちに教わったこと

温泉水を持ち帰って、家のお風呂に

ここには温泉スタンドがあって、温泉水を持ち帰ることができる。かなりの量が数百円だったので、私も何度か大きな入れ物を車に積んでいって、帰りに詰めて持って帰った。家のお風呂に入れると、あのぬるぬるがほんの少しだけよみがえる。もちろん同じとはいかないけれど、湯上がりの肌のやわらかさで「ああ、あのお湯だ」とわかるくらいには残っていた。

あとは温泉水を使った化粧水も売っていたはずだ。知り合いにここの話をしたら気に入って、会員になって化粧水も使っていると言っていた。会員は入会金200円だけで年会費も期限もなく、入浴料が100円引きになる仕組みだそうだ。

※温泉水が飲めるものだったかどうかは、正直覚えていない。飲泉には許可が必要なので、持ち帰った温泉水を飲むのは、必ず現地の表示を確認してからにしてくださいね。

深い水風呂に、気づいていなかった

ここに通っていたのは、私が温泉にはまりはじめた初期の頃だ。だから今ほど水風呂や温冷浴をしていなかった。水風呂はあったなあ、というくらいの記憶しかない。

ところが今回、この記事を書くために調べて驚いた。ここの水風呂は深さが80〜140センチもあるらしい。しかも温度は16〜17℃。

深い水風呂と聞くと、今の私は俄然気になる。水圧のことを知ってからは、浴槽の深さを見るようになったからだ。80センチと140センチでは、体にかかる圧がまったく違う。

それに深い水風呂は、お腹までしっかり浸かる。これが私にはけっこう大きい。腰から下だけ浸かっているときと、お腹まで沈んでいるときとでは、冷たさの入り方がまるで違う。水に触れている面積が広いほど体の熱は逃げていくし、お腹のあたりには内臓がある。体の芯に近いところが冷やされるのだから、感じ方が変わるのも当然だと思う。

もちろん水温そのものの差のほうがもっと大きいので、深さだけで決まる話ではない。それでも今の私が水風呂の前に立ったら、まず見るのは深さだ。当時の私は、目の前にあったものの価値にまったく気づいていなかったわけだ。

▷ 水圧の話はこちら → お風呂の水圧って体にどう働く?|温熱・水圧・浮力と、立ち風呂の水圧は約2倍

足湯と家族風呂もあるらしいのだけれど、これは何度も行っているのにまったく記憶にない。人は自分の興味のあるものしか見ていないのだなあと、しみじみ思う。

次に行ったら、水風呂を堪能したい

あの頃の私は、ぬるぬるのお湯を楽しんで、美泡風呂でぼーっとして帰っていた。それはそれで幸せな時間だった。

でも今の私なら、同じ温泉でまったく違う入り方をすると思う。ぬるぬるの内風呂でしっかり温まって、あの深い水風呂に入って、また戻る。温度も深さも楽しめる場所だったのだと、今になってわかった。

▷ 今の私の入り方 → 更年期の「整う」は温泉と水風呂で|サウナが苦手な50代がたどり着いた温冷浴のやり方

久しぶりに、水風呂を目当てに行ってみようと思う。夫はきっと、またぬるぬるの湯船から出てこないのだろうけれど。

遠くから来るなら

祥風苑は摂津峡にあって、すぐ近く(徒歩10分ほど)に「摂津峡 花の里温泉 山水館」という温泉旅館がある。実はこの旅館の露天風呂には、祥風苑の弐号泉が使われている。同じ源泉の宿だ。

私はいつも日帰りで行っていたけれど、遠くから来るなら泊まってゆっくりするのもいいと思う。高槻は大阪と京都の間なので、どちらから来ても行きやすい。

調べていて面白かったのが、山水館には日帰りのプランがいくつもあることだ。お風呂だけなら1,400円。昼食と温泉のセット、それから「ロングステイ」といって11時半から20時まで、8時間半も部屋を使える夕食つきのプランまである。祥風苑でお湯に浸かって、部屋でごろごろして、夕方にもう一度旅館のお風呂に入って夕食、というモデルプランも載っていた。

食事は名物の鍋が選べる。キジ鍋、それからすき焼きに綿あめをかぶせる雲海鍋。冬には島根県産の天然猪を使ったぼたん鍋も出るらしい(11月から2月まで)。

正直に言うと、私は普段、豪華な食事は湯治とかけ離れていてしんどくなってしまう。ごちそうが続くと、体を整えに来たはずなのに何をしているのだろうと思う。それなのにぼたん鍋と聞くと、思わず食べたくなってしまうのだから勝手なものだ。夫の田舎で焼肉にしてもらった猪の脂の甘さが、十年以上たっても忘れられない。

一方で、朝食だけで夕食のないプランもある。夕食を抜いて、昼間は祥風苑に通う。そういう素泊まりの湯治みたいな使い方もできる。豪華に楽しむのも、静かに整えるのも、同じ宿で選べるのが面白い。

▷ 湯治のことはこちら → 湯治とは何か|二十一日間の入り方と、私が知った昔からの考え方

♨️ 山水館に泊まるなら:楽天トラベルで摂津峡花の里温泉 山水館を見る

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▷ 連泊で温泉を巡るスタイル → 温泉の連泊、どう過ごすか|湯めぐりと湯治は別だった。私の3つの型


施設データ

  • 場所:大阪府高槻市塚脇4-20-3
  • 泉質:ナトリウム-炭酸水素塩泉(摂津峡花の里温泉 弐号泉)。pH9以上のアルカリ性で、重曹の成分が850mg/kg以上=温泉の規格の2.5倍の濃さ
  • 似ているお湯:塩化物が混ざらない純粋な重曹泉なので、六甲おとめ塚や仁左衛門の2号泉とは別のタイプ。ぬるぬるするのがこの泉質の特徴。歩いて10分の「摂津峡 花の里温泉 山水館」が同じ弐号泉を使っている
  • :未確認
  • 香り:未確認
  • 加水:なし
  • 加温:あり
  • 循環ろ過:あり
  • 消毒:塩素系の消毒あり
  • お風呂:1階=内風呂(主浴槽・電気風呂・ジェットバス・座湯や寝湯)、サウナ、水風呂/中2階=美泡風呂(内風呂の横の扉を出てすぐ、屋外)/2階=露天風呂/屋上=大きな露天風呂と壺湯/家族風呂
  • 水風呂:16〜17℃。深さ80〜140センチ
  • サウナ:あり(85℃前後の低湿サウナという記載がある)
  • 施設の外:足湯と温泉スタンド(温泉水の持ち帰り)
  • 食事:食事処「花の里」が受付の横あたりにある
  • 営業時間:10:00〜24:00。年中無休
  • 料金:平日1,000円/土日祝1,100円(会員は各100円引き。入会金200円のみで年会費なし)
  • アメニティ:未確認
  • 駐車場:150台。入浴すると3時間無料、以後30分ごとに300円
  • 送迎:JR高槻駅から無料送迎バス(15分ほど)
  • :不可

※2026年8月に調べたものです。料金や設備は変わることがあるので、おでかけ前に公式サイトでご確認ください。「未確認」は、次に行ったときに現地で確かめます。

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