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湯治とは何か|二十一日間の入り方と、私が知った昔からの考え方

からだと暮らし

玉造温泉から帰ってきて、ずっと同じ疑問が頭にあった。なぜあの一泊であんなに変わったんだろう。そのとき思い出したのが「湯治」という言葉だった。

▷ その一泊の話はこちら → お湯の中でも寒かった私が、一晩で体が楽になった話|温泉とからだの記録

湯治って何なんだろう

湯治や湯治場という言葉は、昔からなんとなく知っていた。大きな病気を治すために、長い期間泊まり込みで温泉に入る施設。そんなイメージだ。

日本昔話にも「蟹の湯治」「蛇の湯治」などがある。蟹の湯治は石川県の話で、鍋谷川のヌシである蟹が侍に化けて湯治に通うという話。蛇の湯治も同じように蛇が湯治に通って傷を治す話だけれど、こちらは少し怖い。私が子どもの頃は「まんが日本昔ばなし」がテレビで放映されていたので、昔話にはすごくなじみがある。

キャンプ場で湯治場に出会った

まだ子どもが小さかった頃、我が家の旅行といえばキャンプだった。上の子が男の子ということもあり、人混みや旅館・ホテルだと、休みの日でも子どもを叱ったり注意したりしなくてはいけない。それが嫌で、人の少ないマイナーなキャンプ場を探しては家族で出かけていた。

子どもを叱るのはパワーもいるし「怒りすぎたかな」と反省したりもする。休みの日くらいは自分も怒りたくなかったし、子どもにも自由に泥だらけで好き放題遊んでほしかった。

当時のキャンプ場は今のように施設が整っていなくて、シャワーしかないところも多かった。田舎の方に行くと夏でも夜は寒いので「やっぱりお風呂には浸かりたいね」と色々探していくうちに、青少年の家のお風呂を借りられるところや、湯治場と一緒になっているキャンプ場を見つけた。人の少ない自然の中のキャンプ場に出かけていたから、こういう所と出会えたのかもしれない。

その頃に知ったのが、湯治とは一週間、あるいは何週間、何か月という単位で滞在して、温泉と休養を中心に体を整えていくものだということ。長く滞在する前提なので、湯治場の宿は自炊ができる部屋になっていたり、宿泊料金も比較的安く設定されているところが多い。

一度、静岡県の天城峠あたりで、湯治場と知らずに家族四人で泊まったこともある。その頃の私はまだ30代で「湯治」という言葉が自分ごととして響いてはいなかった。それでも病院が苦手な私は「病気になったらこんな風に体と向き合う方法もいいな」と思っていた。

あらためて湯治を調べてみた

玉造温泉から帰った後、改めて湯治について調べてみた。

日本では湯で治すという考え方が昔からあって、湯の効能と温泉に入ることで自然治癒力を高め、病気や傷を治すことを目的としていた。現代では病気治療からストレス解消や予防へと目的が変わってきているので、短期で行く「プチ湯治」が主流のようだ。

調べてみて、私が魅力を感じるのは長期滞在だなあと、なんとなくそう思った。ただ昔と比べると宿泊料金はずいぶん上がっていた。20年ほど前に調べたときは一泊3千円ほどで出ていた宿が、今では一泊1万円。長期滞在となると、正直これは今の私には無理だなと思った。

まだ大病というわけでもないし、時間もお金もそこまでかけられない。でもいつか本当に必要になったときのために覚えておこう。そう思って、そっと頭の片隅に置いておくことにした。

二十一日間、七日一巡りを三巡り

忘れては思い出すを繰り返す湯治という言葉。しばらくたってからまた気になって、歴史なども調べてみた。

飛鳥時代には天皇や貴族が。鎌倉時代には熱海や箱根、草津などが広まって武士や僧侶が利用し、江戸時代には医師が湯治の効能を説いたことで庶民にも広まった。滋賀県にも歴史上の人物が入ったとされる温泉があったなと調べてみたりすると、楽しくて長時間検索をしまくってしまった。

そして昔からの湯治の基本は、二十一日間だそうだ。七日一巡りを三巡り。最初は一日一回から始めて、体を慣らしながら少しずつ回数を増やしていく。大食や大酒は避け、質素な食事と湯と休息を大切にする生活。治すというよりも、整えるための時間。

知れば知るほど「やっぱり私のもっていた湯治のイメージは間違っていなかったんだ」と感じた。

温泉が「大切に向き合いたい場所」になった

湯治という考え方に改めて触れたことで、私のなかで温泉は「たまたま楽になった場所」から「もう少し大切に向き合いたい場所」へ変わった。そしてその気持ちは、自然と温泉を探す私につながっていった。

湯治の歴史を調べているうちに、温泉そのものへの興味がどんどん広がっていった。この本は記紀の古湯から武将の隠し湯、江戸時代の温泉番付まで、日本の温泉の歴史がコンパクトにまとまっています。温泉好きな方なら読み物としても楽しめると思います。

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今の私の湯治は、週末の三時間

あれから何年かたって、私の湯治はかたちになった。二十一日間の長期滞在はできないけれど、週末に温泉へ行って三時間かけて温冷浴をする。連泊するときはビジネスホテルに素泊まりして、昼間は気になるお湯を巡る。昔の人の「治すより整える」という考え方は、今の私の過ごし方にちゃんと生きていると思う。

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そして最近、あの天城峠のキャンプ場にまた行くことになった。20年ぶりだ。あの頃なんとなく知った湯治が、今はこんなに大事なものになっている。

▷ 天城峠のキャンプ場の話 → 伊豆・河津七滝オートキャンプ場|子連れ・犬連れで泊まった、ベランダ源泉かけ流しのコテージ

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