熱いお湯でじっくり温まった体で、水風呂に足を踏み入れる。
ぶわーっと、全身に何かが広がる感じ。
「あー!しあわせ」
思わず声が出る。
これを知ったのは30代のころだった。
- 30代のとき甲田療法の本で知った
- 甲田療法は病気の人のために生まれたもの
- だから根本の考えだけを借りた
- 食事は一度作って食べてみた
- 薄い布団でも寝てみた
- ビール瓶にタオルを巻いて寝てみた
- 今は指導してくれる人がいない
- 借りたのは温冷浴だけ
- 水とお湯に1分ずつ7セット
- 髪がきれいになって体がシャキッとした
- 30代から今まで細く長く続いた
- 更年期のころは湯舟の中でお腹が震えていた
- 玉造温泉で初めて芯から温まった
- 家のお風呂でもお腹が冷えなくなった
- 心臓への負担は思ったより大丈夫だった
- サウナには入らない。塩サウナだけはたまに
- 毎回フルにはやらない
- 今はもう少し踏み込んだ入り方をしている
- 我慢できるギリギリまで水風呂に入る
- 上がり方も変わった
- 最初のうちは体温が戻らなかった
- 震えることが少なくなってきた
- 甲田療法の1分ずつはもうやっていない
- 急にはできなかった
30代のとき甲田療法の本で知った
甲田療法の本を読んだのがきっかけだった。

読んだのはこの2冊です。温冷浴だけでなく、食事や断食など、体の整え方全体が書かれています。50代になって体の変化を感じている方には、きっかけになると思います。
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甲田光雄先生という医師が実践・普及させた健康法で、断食や少食、毛管運動などとあわせて、温冷浴がその中心のひとつとして紹介されていた。
甲田療法は病気の人のために生まれたもの
あとで知ったのだが、この療法には土台がある。西勝造という人が作った「西式健康法」だ。
西式には六大法則というものがある。平床(かたい床に寝る)、硬枕、金魚運動、毛管運動、合掌合蹠、背腹運動。温冷浴も、こちら側にある。
甲田光雄先生が足したのが、少食と断食と生菜食のほうだ。玄米と豆腐と青汁。それが「西式甲田療法」になった。
そして甲田療法のほうは、病気の人のために発展したものだった。
作った甲田先生自身が、若いころに慢性の胃腸病と肝炎を患っている。大学病院で「今の医学では治せない」と言われて、断食療法に活路を求めた人だった。
やり方も厳しい。一日二食で1600キロカロリー以下。玄米と豆腐と青汁を、何か月も続ける。これは病気を治すための処方だ。
だから根本の考えだけを借りた
まだ病気ではない私が丸ごと真似るものではないと思っている。
そう思うまでには試してみたことがある。
食事は一度作って食べてみた
本には玄米クリームのことや、質素な食事のことが書かれていた。
一度作って食べてみて不治の病と言われたらこれは食べられる。でも病気じゃない今の私には食べられないし食べる必要もない。
もうひとつ、こわかったことがある。30代でこの食事に変えてしまったら、もう戻せないような気がした。体が受け付けなくなってしまうのではないかと思ったのだ。
薄い布団でも寝てみた
本には薄い布団で寝ることも書かれていた。六大法則の「平床」だ。これも当時やってみた。敷布団も掛け布団も薄いものにした。
冬だったので寒いし、背中は固いしで眠れなかった。しばらく続けても深い眠りには入れなかった。
でも今になって思うのは、あの頃はまだ自分で熱を作ることができなかった。だから薄い布団では眠れなかったのかもしれないということ。
今ならもしかして、とも思う。ただ、更年期の今それを試すのは勇気がいる。大きな病気になって甲田療法をやるなら、そのときは布団も薄くするだろうと思う。
ビール瓶にタオルを巻いて寝てみた
硬枕もやった。これも六大法則のひとつだ。
当時、首から肩にかけてのこりと頭痛がひどくて、マッサージに通っていた。それでもすぐにしんどくなる。硬枕のことを思い出して調べたらビール瓶にタオルを巻いて代用する方法が出てきた。買うと高かったので、それでやってみた。

初めて寝たときはゴキゴキとすごい音がした。首の骨が折れたのかと思うくらいの音だった。
恐る恐る起き上がってみると首と頭の重さがなくなっていた。
ただこれは人にすすめられることではない。首を鳴らすことで血管を傷めることがあると、あとから知ったので同じことをしてくださいとはとても言えない。
今もたまに硬枕はする。でももうあの時のような音は出ない。あれは、あのころの体だから鳴った音だったのだと思う。
今は指導してくれる人がいない
甲田光雄先生は2008年に亡くなっている。84歳だった。
西式甲田療法を取り入れているクリニックは今もあるけれど、あの先生に診てもらうことはもうできない。本を読んで自分でやるとしたら、完全な自己流になってしまう。
だからこそ、根本の考えだけを借りるという形が、私にはちょうどよかった。
借りたのは温冷浴だけ
こうして並べてみると、はっきりする。
私が試したのは、平床も硬枕も温冷浴も、全部「西式」のほうだった。
そして置いてきたのは、甲田先生が足した食事のほうだ。玄米クリームも、少食も、断食も、やっていない。
残ったのは温冷浴だけ。それを30年やってきた。
続いたのは、たぶんそのおかげだ。全部やろうとしたら半年で終わっていたと思う。
ただ、置いてきたものを捨てたわけではない。大きな病気になったら甲田先生の少食もやってみるかもしれない。あれは、そういうときのための療法だと思っている。
水とお湯に1分ずつ7セット
やり方はシンプルで、冷たい水と温かいお湯に1分ずつ交互に入る。それを7セット繰り返す。
「え、冷たい水に入るの?」
正直そう思った。でも、やってみたら気持ちよかった。
髪がきれいになって体がシャキッとした
春からお正月ごろまで家のシャワーでせっせと続けた。髪がきれいになってきたり、体がシャキッとするとなんとなく続けたくなる。
この二つは今も感じる。ただ、条件があることに気づいた。
髪がきれいになるのは冬に冷たい水を浴び続けたときだけだ。夏はそこまで思わない。週に2回ほど温泉に行くくらいでは感じない。冬に家で真面目に冷水シャワーを続けたときにだけ、はっきり分かる。
つまり毎日やらないと出てこない変化なのだと思う。
シャキッとするほうは、水を浴びればいつでも感じる。特に早朝の冷水シャワーがそうだ。冷水を浴びることが禊や穢れを落とすと言われるのも、あれをやると納得する。
▷ 朝の水シャワーの話 → 冬の朝、水シャワーを浴び続けたら寒さに強くなった話|自律神経とヒートショック
30代から今まで細く長く続いた
気がつけば「思い出したらやる」くらいの習慣になっていた。温泉に行くときは必ずやるし、家でやらなくなってもやめたわけじゃない。そうやって30代から今まで、細く長く続いてきた。
更年期のころは湯舟の中でお腹が震えていた
更年期がしんどかった頃のことを思い出す。
お湯の中でも体が冷えた。追い炊きしても追いつかなくて、湯舟の中でお腹が震えていたこともあった。
▷ あのしんどさのことは、こちらに書いた → お湯の中でも寒かった私が、一晩で体が楽になった話
玉造温泉で初めて芯から温まった
そんな私が変わったのは、玉造温泉がきっかけだった。
泉質のあるお湯に入ると、体の芯からじわっと温まる。シャワーでも銭湯でも感じたことのない温まり方だった。「あ、これか」と思った。それから温泉に通うようになっていった。
家のお風呂でもお腹が冷えなくなった
温泉では必ず温冷浴をするようになった。そのうち、家のお風呂でもお腹が冷えることがなくなってきた。忙しい日にシャワーだけで済ませても、以前のように体の冷えを感じなくなってきた。
温冷浴で血のめぐりが変わって、内臓への流れも整ってきたのかな、と思っている。
あの頃湯舟でお腹を震わせていた私が、今は水風呂に気持ちよく入れている。なんだか不思議な気がする。
心臓への負担は思ったより大丈夫だった
心臓への負担は心配だったけれど、たまにとはいえ20年続けてきた体は、思いのほかすんなり対応してくれた。心臓がぎゅっとすることもなく、寒すぎて縮こまることもなく。
サウナには入らない。塩サウナだけはたまに
ちなみに、私はサウナには入らない。
温泉の水圧や泉質が体に効くと感じているので、そちらに集中したい。
塩サウナはたまに入ることがある。頭に塩を乗せてじっとしていると、後で頭がすっきりしてくる感覚があって、それがちょっと気持ちいい。体に塗るよりも頭に乗せるほうが変化を感じる。ひとつだけ注意するとしたら、顎を引かないこと。引くと塩が目に入るので(笑)。
毎回フルにはやらない
毎回フルにはやらない。
体調がよくない日は足だけ水に浸ける。何セットも入れそうにない時は少なめにする。水風呂をやめて、40℃以下のぬるめのお湯にゆっくり浸かることもある。
体に聞きながら、無理せず。それが長く続けられた理由のひとつだと思っている。
今はもう少し踏み込んだ入り方をしている
ここ最近、入り方が変わった。氷風呂というものを知ったからだ。
脳科学の方面から水風呂や冷水シャワーの話を聞いたり、ハリウッドスターの間でも流行っているという記事を目にしたりするうちに、体を限界まで冷やすということを意識するようになった。
我慢できるギリギリまで水風呂に入る
温まった体を水風呂に入れて、我慢できるギリギリまで入る。ただ、じっと同じ姿勢でいるわけではない。つらくなるたびに、体を少しずつ水から出していく。
- 首まで浸かる
- 首までが無理になったら、胸まで出す
- それでもつらくなったら、手を腕ごと出す
- それでもつらくなったら、下半身だけにする
- 下半身だけになったら、熱を作るために上半身の運動をする
こんなことをして5分くらい入る。
もちろんこれは体調のいい日だけだ。ちょっと体調が悪いなという日は、短く入って反射を起こすだけにする。
※これは30年かけて慣らしてきた体でやっていることです。5分の水風呂は誰にでもすすめられるものではありません。心臓や血圧に不安のある方は絶対にやらないでください。始めるなら、足に水をかけるところからにしてください。
▷ 始め方はこちら → 冷え性なのに水風呂?|冷え性の人が、どこから始めればいいか
上がり方も変わった
もう一つ変わったのがお風呂の上がり方だ。
昔は最後に水風呂へ一瞬浸けて、熱を少しだけ落としていた。汗をかかない程度にして上がる、という感じだった。
今は芯まで冷やして、そのあと自分の力で体温を作らせるようにしている。
最初のうちは体温が戻らなかった
これは、始めたころは大変だった。夏の昼間に入った日に、3時間も唇の色が悪かったり、手に血の気がなかったりした。夫に指摘されたこともある。
▷ そのころのことは、こちらに詳しく書いた → 私の水風呂の入り方|温泉で体を芯まで冷やす温冷浴のやり方
震えることが少なくなってきた
ところがこの頃は、夫に指摘されることも少なくなるくらい、体に熱が戻るのが速くなってきている。そして寒くて後から震えることが少ない。
調べたら、この「震えずに熱を作る」働きには「非震え熱産生」という名前がついていた。その主役が褐色脂肪細胞で、寒さの刺激を6週間くり返すと働きがよくなることが確かめられている(北海道大学の斉藤昌之名誉教授らの研究)。
つまり「震えなくなった」というのは、熱を作る力が育ったサインということになる。
▷ 褐色脂肪細胞のしくみはこちら → 冷え性なのに水風呂?|冷え性の人が、どこから始めればいいか
今は夏だから、冬になったらもう少しはっきり感じるのかもしれない。その変化を感じるのも、楽しみにしている。
甲田療法の1分ずつはもうやっていない
30代のころに読んだ「1分ずつ7セット」は、今はやっていない。
温冷浴という形ではあるけれど、お湯も水も「芯から温まるまで」「芯から冷えるまで」と、自分で変えている。
変えたのは氷風呂を知って、芯から冷やしたいと思ったからだ。
そして芯まで冷やすと、お湯にもそれなりの長さ浸からないと体温が戻らない。だから1分ずつでは足りなくなった。
▷ 今のやり方 → 私の水風呂の入り方|温泉で体を芯まで冷やす温冷浴のやり方
▷ 冷水は体に悪いのか → 冷水は体に悪い?その思い込み、南山紘輝さんの話で全部ひっくり返った。
急にはできなかった
今の私にそれができるのは、30代からずっと温冷浴を続けてきたからだと思っている。急にいきなりはできなかった。ゆっくり体を慣らしてきたことが、今につながっている。

