更年期になってから、お風呂でのぼせやすくなった。熱いお湯がつらくて、気づけば家でもシャワーだけ。そんな人が実は多いらしく、給湯器メーカーのコラムにも「ほてりを感じるので、シャワーで済ませる人も多い」と書いてあった。
でも、お風呂をあきらめなくていい。のぼせは体質ではなくて、入り方で防げる。私は更年期の今、真夏でも3時間温泉に入っている。この記事では、のぼせやすい体のためのお風呂の入り方をまとめたい。
実は私も、温泉が好きじゃなかった
思い出してみると、30代前半の私は温泉や長風呂があまり好きではなかった。お風呂上がりにダラダラ流れる汗が嫌だった。いつまでも暑いのも嫌だし、あの汗をかくとすごく体が消耗する感覚があった。だから家で長風呂をするときも、頭のどこかで「風呂上がりが面倒だな」と思いながら、お風呂は大事だしダイエットにもなるかもしれないし、と軽い決心をして入っていた。
調べてみると、あの消耗する感覚にはちゃんと理由があった。熱いお湯や長湯で体の芯の温度が上がりすぎると、上がった後も体は必死に熱を捨て続ける。あのダラダラ汗は体がフル稼働している状態で、しかも入浴中は思っている以上に汗をかいていて、軽い脱水にもなっている。「湯疲れ」という呼び名まであるそうだ。つまり体質のせいではなくて、入り方と上がり方のせいだった。
なぜ更年期は、のぼせやすいのか
更年期はエストロゲンが減って、血管を開いたり閉じたりしている自律神経が乱れやすい。体温の調節が下手になっている時期なので、お湯の熱を逃しにくく、のぼせやすい。この仕組みの話は看板記事にまとめたので、ここでは省略する。
▷ 更年期の「整う」は温泉と水風呂で → 更年期の「整う」は温泉と水風呂で|サウナが苦手な50代がたどり着いた温冷浴のやり方
のぼせる前に、熱を抜きに行く
私がお風呂で守っているのはひとつだけ。頭が「熱くて不快」と感じ始めたら、すぐに水風呂に行く。暑いのに無理して入り続けない。体の熱をすぐに抜きに行く。
温泉のおばあさんたちを見ていると、上手な人ほど無理をしていない。暑くなると椅子に座って外気浴をしたり、水風呂で手足と頭にだけ水をかけてから、椅子でおしゃべりを楽しんだり。70代くらいの方でも水風呂に肩まで浸かってすっと上がる方がいて、年齢を考えるとすごいと思う。
体の芯が熱い時は、手足だけ、膝までだけでも体温はすっと引く。全部浸からなくていい。
頭を冷やすと、のぼせは防げる
そして意外と大事なのが頭だ。私は水風呂に全身浸かってから、いったん上がって頭から水をざぶざぶと浴びる。そしてまた肩まで浸かる。頭を冷やすと、すごく気持ちがいい。
のぼせは体温が急に上がって、脳に血が回りにくくなった状態。頭の皮膚を冷やすと脳の温度が下がって、のぼせを防げるという。私の「頭から水ざぶざぶ」は理にかなっていたようで、銭湯の定番だった「頭に濡れタオル」も同じ理屈だそうだ。水風呂まで行けない人は、洗面器で頭に水を浴びるだけでも熱は大きく下がる。
42℃を境に、体は逆のことをする
「ぬるめがいい」とよく言われるけれど、何度からがぬるめなのかが分からなかった。調べたら、はっきりした境目があった。
42℃を境に、体の反応が逆になる。
42℃以上だと交感神経が高ぶる。血圧が上がり、脈が速くなり、筋肉が硬くなって、汗が出る。胃腸の動きは止まる。
40℃以下だと副交感神経が働く。血圧が下がり、脈がゆっくりになり、筋肉がゆるむ。胃腸もよく動く。
同じお風呂なのに、たった2℃で正反対だ。
のぼせやすい人が入るべきは、40℃より下ということになる。私が温泉で長く入っていられるのも、ぬる湯や炭酸泉がだいたいその温度だからだと思う。
ぬる湯と炭酸泉という天国
のぼせやすい人にすすめたいのが、ぬるいお湯だ。私にとって冷泉やぬる湯は、体を冷やすためというより、のんびりぼーっとするための場所だ。
しっかりした水風呂がある温泉なら、体温より少し低いくらいのお湯にぼーっと浸かるのが気持ちいい。蒲生野の湯や、よくある炭酸泉がこの温度だ。炭酸泉はぬるいのに、ゆっくり浸かっているうちに指先がジンジンしてくる。これは炭酸ガスが皮膚から吸収されて血管が広がり、血流が増えている合図だそうだ。ぬるいのに体の中から温まる。のぼせやすい人にこそ向いているお湯だと思う。
水風呂がまったくない温泉なら、仁左衛門の湯や花山温泉のように、冷たい源泉(冷泉)に浸かれるところが気持ちいい。水風呂ほどの冷たさではないけれど、体の熱をちゃんと抜いてくれる。
▷ 冷泉と水風呂、ふたつの冷たさ → 京都・仁左衛門の湯|冷泉があるのが嬉しい。泉質と、あの香りの正体
▷ 地元のおばあちゃんに教わった冷たいお風呂 → 滋賀・蒲生野の湯|地元のおばあちゃんに教わった、冷たいお風呂の入り方
▷ ぬるい源泉風呂がある温泉 → 和歌山・花山温泉|関西最強の炭酸泉は、温まるのに頭がのぼせなかった
家のお風呂なら、ぬるめ+最後に水シャワー
家なら、設定温度をぬるめにして、最後に水シャワーで締めると、風呂上がりの汗が出なくてすっきりする。
うちの夫の話をすると、夜の犬の散歩から帰って「シャワー浴びても暑いしなあ」と渋っていた。私が「私は水シャワーやから、上がってからも爽やかすっきりやけどなあ」と言うと、「そっか。水か」とシャワーへ。戻ってきて「すっきりー」と言うので水にしたのかと聞くと、「俺は家で水シャワーは無理。だからお湯に水を足して、自分が大丈夫な冷たさで浴びた。これなら冷たすぎないし、シャワーの後に汗も出ないわ」とご機嫌だった。
水シャワーができない人は、これでいい。我慢できる温度まで水を足して、全身に浴びる。それも無理なら、足や手だけに水をかけるだけでも違う。
水分は「トイレのたびに飲む」
こまめに体を冷やしていると、実は喉がカラカラになることは少ない。ただ、温冷浴を繰り返すことと水圧の関係でトイレに行きたくなるので、私はトイレに行ったら必ず水を飲むと決めている。喉が渇いたと感じたら、面倒がらずに飲みに戻る。
調べて、数字に驚いた。
41℃のお風呂に15分入って、そのあと30分休む。この45分のあいだに、およそ800mLの水分が失われるという。ペットボトル1本半だ。
お風呂を出たら終わり、ではない。上がったあとも体は熱を捨て続けるので、しばらく汗が出る。この数字は、そこまで含めた合計だ。
喉が渇いていないから大丈夫、はまったく当てにならない。上がってからも飲んだほうがいい。
目安は入浴の前と後に、それぞれコップ1杯。私の「トイレのたびに飲む」は、3時間入る日にはちょうどよかったのだと思う。
大体の温泉には冷水器があるけれど、私は冷たい水が苦手なので、ロッカーの水筒まで飲みに戻る。浴室に飲み物を置けるコーナーがある温泉も多いので、戻るのが面倒な人はそこに置くといい。ただ、いろんな方が置いているので、自分のものだと分かるようにしておくのがおすすめだ。
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真夏のお風呂は、天国になる
毎年、真夏にも温泉に行く。おばあさんたちがこんな会話をしていた。「暑い夏はお風呂が一番。入ってるときは暑いってこと忘れてるもんなあ。幸せ」
これは熱の逃し方を知っている人の本音だと思う。私も真夏の昼のお湯に浸かっていると、汗のことも暑さも忘れて気持ちいいと思って入っている。熱の逃し方さえ知っていれば、冬のお風呂だけでなく、夏のお風呂も天国になる。
▷ 夏の暑さと更年期の話はこちら → 更年期に冷房を我慢しない|ホットフラッシュと眠れない夜が、たった1日で楽になった
※のぼせてめまいがするときは、無理せず涼しい場所で休んで水分を取ってください。症状がつらいときは、ひとりで抱えずに婦人科への相談を。

