インスタグラムでたまたま見かけた動画が、水風呂に対する私の考えをまるごと変えた。
脳科学とコーチングをベースに、人が本来の能力を発揮するにはどうすればいいかを研究されている南山紘輝さん(@nlpe.17)。株式会社アルカコウキ代表取締役、南山教育研究所所長。フォロワー6万人超の方で、インスタライブで冷水について話されていたのを聞いて、一気に視界が開けた。
「ストレスは悪い」「体を冷やすと悪い」——本当にそう?
「ストレスは体に悪い」「体を冷やすのは良くない」。こういう言葉、よく耳にする。
でも南山さんはこう言っていた。それは全部、「慢性的に」というひと言がついた時だけの話だと。
急性的に、自分でコントロールできる形で与えるストレスは、体に悪くない。むしろ必要なもの。
一概に「いい・悪い」で決めてしまうから、本当はいいことが「悪いもの」に見えて、見逃してしまう。ストレスがなければ脳だって成長しない。朝に体をスイッチオンにするには、ノルアドレナリン、アドレナリン、ドーパミン、コルチゾールが必要なのに、「ストレスは悪い」と思い込んでいたら、自分からそれを遠ざけることになってしまう。
この話を聞いた時、「決めつけていたのは私だったのか」と思った。
「冷えは万病のもと」とは、矛盾しない
ここで引っかかる人がいるかもしれない。「冷えは万病のもと」と言うではないか、と。
でも南山さんの話は、そこも通っている。問題なのは慢性的に冷えていることだ。手足が一年じゅう冷たい。お腹が冷えている。体温が上がらない。それはたしかに万病のもとだと思う。
自分で決めて、短い時間だけ冷たさに入るのは、それとは別のことだ。入って、出て、体が自分の力で温め返す。この往復がある。
冷えっぱなしと、冷やして戻すこと。同じ「冷たい」でも、まるで違う。
▷ 冷えが変わった話はこちら → 更年期の冷えは変えられる|去年はカイロ、今年は芯が冷えない私の実感
自律神経はオンとオフで動いている
自律神経は、朝にオンになって、夜にオフになるように設計されている。
でも、運動習慣がない人、光を浴びない人、冷水を浴びない人は、朝にしっかりオンになれない。そして大事なのはここ——オンにならないと、オフにもなれない。
夜になっても眠れない、なんとなくずっと不安がある。それはオンが足りないせいで、オフに切り替えられていないからだという。更年期の「眠れない」「不安感」に悩んできた私には、刺さる話だった。
冷水から上がった瞬間に、慢性的なストレスも消える
冷水に浸かると、体に急性的なストレスがかかる。そして冷水から上がった瞬間、そのストレスが消える。
このとき、急性のストレスだけでなく、ずっと抱えていた慢性的なストレスまで一緒に流れていくのだという。
冷水のあとに「穢れが祓われた」「スッキリした」「整った」と感じるのは、そのせいだ。あの感覚は気分の問題ではなく、体の中で起きていることだった。
そしてこれは、温度差が大きいほど強く出るという話でもあった。ぬるい水にちょっと浸かるより、しっかり冷たい水にきちんと浸かったほうが、流れていくものが大きい。だから私は、冷泉があるところでも水風呂には別に浸かるようにしている。
ただし、強ければいいという話ではない。大事なのは「自分でコントロールできる形」のほうだ。嫌だと思いながら我慢して入ると、せっかくの急性ストレスが慢性ストレスの側に近づいてしまう。この話は別の記事に書いた。
褐色脂肪細胞の話が、いちばん刺さった
年をとるにつれて、暑さにも寒さにも弱くなってきた。そう感じていたのは、気のせいではなかった。
褐色脂肪細胞が、年とともに減っていくから。褐色脂肪細胞が減ると、暑さ寒さへの対応力が落ちる。代謝が下がる。体脂肪を燃やしてくれるのが褐色脂肪なので、減ると痩せにくくもなる。
でも、努力次第で増やすことができるという。方法はいろいろあるが、一番手っ取り早いのが冷水。冷水に入る時も、背中や脇の下まで浸かると褐色脂肪が一気に活性化する。
そして冷水に入ると、血中のノルアドレナリンが530%以上上昇するという研究がある。これは2000年にヨーロッパの生理学の専門誌に出たもので、32℃・20℃・14℃の三つの水温を比べた実験だ。急激に上がって、ゆっくりと戻ってくる。この戻り方が、あの「じんわりスッキリ」につながっている。さらに自分で急激に上げたノルアドレナリンには抗炎症作用があり、炎症や酸化を取る働きもある。
やる気がみなぎる理由も、ちゃんとあった
冷水を浴びると、ドーパミンが大量に分泌される。依存性の高い物質と同じくらいの量が出るとも言われているほど。
でも冷水で出るドーパミンは一気に上がって、ゆっくり下がる。
依存をつくるものは、上がるのも落ちるのも急だ。急に落ちた瞬間に反動が来て、またあれが欲しくなる。そうやって繰り返すうちに、同じ量では足りなくなっていく。
冷水のドーパミンは、下がり方がゆるやかなので、その反動が来ない。だから上がって終わりではなく、やる気のある穏やかな状態が、そのあともしばらく続く。
温度は14℃が目安、でも自分に合った温度でいい
この「14℃」には元がある。さっきの実験で、ノルアドレナリンが530%、ドーパミンが250%上がったのが、14℃のときだった。三つの水温のうち、いちばん低い温度だ。
つまり14℃というのは「いちばん効いた温度」であって、「これ以下でないと意味がない温度」ではない。
南山さんも「自分に合った温度でいい」と言っていた。温泉や銭湯の水風呂はだいたい17〜18℃くらい。それで十分だ。
では家の水はどうなのか。気になって、シャワーの水を洗面器にためて測ってみた。

9月で22℃。研究の14℃より、ずいぶんぬるい。
ただ、水道水の温度は季節で大きく変わる。東京都の記録では、いちばん高いのが7月の29.5℃、いちばん低いのが2月の8.3℃。大阪では冬に6℃くらいまで下がる。
同じ蛇口をひねっても、夏と冬ではまるで別物だ。夏はぬるくて物足りないくらいなのに、冬は14℃どころか一桁まで落ちる。
冬の朝の水シャワーが本当に勇気がいるのは、気のせいではなかった。
▷ 冬の朝の水シャワーの話 → 冬の朝、水シャワーを浴び続けたら寒さに強くなった話|自律神経とヒートショック
冷水に入りながら呼吸を整えることで、日常の中で幸せを感じやすいマインドにもなれるという。また、冷水から上がったあとはお湯に入らず、自分の力で深部体温を上げる方が、褐色脂肪が増えやすいとのこと。
3,000人で試した研究もある
あとから知ったことも書いておきたい。冷水シャワーには、大がかりな実験がある。
2016年にオランダで行われたもので、3,018人を集めて、くじ引きでグループ分けした。片方は毎日のシャワーの最後に冷水を浴びる。もう片方はいつも通り。それを30日間続けた。
結果は、冷水を浴びたグループのほうが、仕事を休んだ日数が29%少なかった。
しかも浴びる長さは30秒、60秒、90秒の三つで試されていて、いちばん短い30秒のグループでも効果が出ていた。
30秒だ。お風呂から上がる前に、シャワーを冷たくして30秒。それだけで数字が動いている。
「冷水は体に悪い」どころか、体を休ませずに済む日が増えている。気合や根性の話ではなく、数字で確かめられていることだった。
これを聞いて、すぐにやってみた
もともと頭の中に、滝行のこと、寒中水泳のこと、昔の人が穢れを取るために水を浴びていたことが、ずっとあった。
南山さんの話を聞いたとき、体が「やりたい」と言った。理屈がやっと追いついた。
すぐに実践した。体感は、すごくよかった。
更年期で悩んでいた自律神経の乱れ。暑さ寒さへの弱さ。これは冷水で変えられるかもしれない。そう思って、入り方を変えていった。
南山さんの話とあわせて、入浴と自律神経について書かれているこちらの本もおすすめです。
▷ 30代からの温冷浴の話はこちら → 30代から続けている温冷浴が、更年期の体を整えてくれていた
※この記事はきっぽ個人が学んだ内容をもとにしています。体に不安のある方は、実践前に医師にご相談ください。
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