夏になると私は一日に何度も手や腕を水で濡らして体の熱を逃がしている。家事をしていて暑くなったとき。犬の散歩から帰ってきたとき。手を洗うついでに袖をまくって肩の近くまで水で濡らす。たったこれだけですーっと涼しくなる。
濡らして乾くのを待つ
冬に冷たい水で手を洗うときは十分に冷えたらすぐ拭いてしまう。手が温まるのを待つわけではない。でも夏はその逆だ。濡らしたらあえて拭かずに乾くのを待つ。
濡れた肌が乾くとき水が蒸発するのに体の熱を奪っていく。いわゆる気化熱だ。打ち水で涼しくなるのと同じで体の表面から熱がすっと引いていく。だから「濡れたまま乾かす」のはだらしないようでいて実はちゃんと体を冷やす方法なのだと知った。
首も同じだ。夏は首にかいた汗をそのままにしておくと刺激になってかゆみが出てくる。だから首も汗を洗い流すようにしっかり濡らす。するとかゆみが防げるうえに熱もちゃんと下がる。一石二鳥だ。
手や首が効くのは血管のせいらしい
なぜ手や首を冷やすとこんなに涼しくなるのだろう。気になって調べてみたら理由があった。
首には太い血管が皮膚のすぐ近くを通っているので冷やすと血液が冷えて効率よく体温が下がる。そして手のひらや手首には「動静脈吻合(どうじょうみゃくふんごう)」という血管があって、ここを冷やすと冷えた血液が体の中に戻って深部体温が下がりやすいのだそうだ。
この「動静脈吻合」は実は前に温冷浴の記事で書いた「あまみ」の血管と同じもの。あのとき覚えた言葉がこんなところでまた出てきた。手を冷やすのが涼しいのは気のせいじゃなかったわけだ。
▷ 「あまみ」の話はこちら → 鬱々を温泉で流しきった週末|3時間の温冷浴と、冷たさに慣れていった体
外でもトイレで同じことをする
この方法は外出先でも同じだ。暑くてたまらなくなるとトイレを借りて手や腕や首を水で濡らす。
ハンカチを濡らして持ち歩くのはかばんの中で困るし、小さな扇風機で風を浴びるのもあまり好きじゃない。だから外でも洗面所でさっと濡らして終わり。ちょっと濡れていてかっこ悪いけれど私は楽さのほうを優先する。若い頃は人の目が気になったのに、今では濡れた腕を振りながら平気で歩いている。かっこよりも涼しいが勝ちだ。これはもう、りっぱなおばちゃん根性。おばちゃんは強い。
ちなみに濡れタオルや保冷剤も持ち歩かない。うちの夫はというと空調服を愛用している。人それぞれ自分に合った涼み方があるものだ。
冬は温め夏は冷ます
こうして書いていて面白いなと思う。同じ「水で濡らす」でも冬と夏では目的が正反対なのだ。
冬は冷たい水で手を洗って十分に冷えたらすぐ拭く。温まるまで待つわけではないけれど、拭いたあと体の反射でじんわりぽかぽかしてくる。夏は逆に濡らしたら拭かずに乾くのを待って気化熱でひんやり冷やす。同じ水と同じ手なのに季節によって真逆の使い方をしている。体ってうまくできているなあと思う。
▷ 冬に冷たい水で手が温まる話はこちら → 更年期の冷えは変えられる|去年はカイロ、今年は芯が冷えない私の実感
去年は暑いのにお腹が冷えていた
去年の夏も同じように手を濡らして過ごしていた。でも今年とは少し感じ方が違った。
去年はお腹のあたりの冷えをすごく感じていた。汗はかくのだけれど「暑くてたまらない」という感じではなかったのだと思う。暑くて汗も出るのにお腹だけは寒い。だから汗はタオルで拭くくらいで済ませてもそれで問題なかった。
それが今年は体の芯が冷えていないぶんちゃんと暑さを感じる。だからこそこまめに熱を逃がすようにしている。去年より体が変わったからこそ今年の過ごし方になっているのだと思う。
更年期は暑い場所で交感神経が上がりすぎるとホットフラッシュや不調が強く出やすい。だからこまめに熱を逃がすことには涼しくなる以上の意味があると感じている。
▷ 暑さと更年期の話はこちら → 更年期は夏の暑さで悪化する|冷房を我慢したらホットフラッシュと眠れない夜がひどくなった話
そしてめちゃくちゃ暑い日は我慢せずにすぐ水シャワーに入る。これが一番早い。
▷ 水シャワーの流れはこちら → 温泉に行けない日の温冷浴|家のお風呂と水シャワーで、自律神経を毎日整える
気をつけたいこと
気持ちいいからといって冷やしすぎには注意している。濡れたまま冷房や扇風機の風に長く当たると今度は芯まで冷えてしまうことがある。特に更年期は冷えやすいのでほどほどに。
それから屋外で扇風機だけを当てると汗が飛びすぎてかえって熱がこもることもあるそうだ。冷やすならやっぱり水で濡らすのが確実だと思う。
※これはあくまで日常の暑さしのぎの話です。めまい・吐き気・頭痛・体に力が入らないなど熱中症が疑われるときは別です。すぐに涼しい場所へ移って水分と塩分をとり、ためらわず医療機関に相談してください。

