温泉で体の調子が整ってきた話を同級生の友達にしたら、「私も温泉に行きたい。いい温泉がわからないから教えて」と言われた。
「じゃあ一緒に行ってみる?二人で旅行なんて高校の卒業旅行ぶりだよ」
そんな話になって、奈良の五條市にある金剛乃湯リバーサイドホテルに一泊することにした。
奈良駅で寄り道してお昼にした
待ち合わせは奈良駅。ホームに降りたところで、友達が言った。
「そういえば奈良駅ってお店が色々あるよね。ちょっと寄り道してみようよ」

「じゃあご飯をここで食べていこうか」
そう決めて駅の近くをうろうろした。入ったのは雰囲気のいいおしゃれなカフェで、メニューを見て二人ともチキン南蛮を選んだ。
「チキン南蛮ってあると気になるよね」
そう言い合って同じセットになった。

食べ終わって「スイーツも食べようよ」という流れになった。運ばれてきたデザートのお皿に「はっぴぃばーすでぃ」と書いてある。この旅がたまたま私の誕生日と重なっていて、友達がサプライズをしてくれていた。
覚えているとは思っていなかったので驚いた。こんなサプライズは久しぶりで、照れくさかったけれど嬉しかった。

お腹がいっぱいになってからも、そのまま駅に戻るのはもったいないので少しだけ街を歩いた。古い建物が残っていて歩いているだけで楽しい。

乗り換えが多くて、思ったより遠かった
奈良駅からホテルまでは、また電車。ここからが思ったより遠かった。
乗り換えが何度かあるうえに、その時間がうまく合わない。次の電車まで30分、長いときは1時間近く待った。
それでも退屈ではなかった。待っている間もずっとしゃべっていたので、気がつくと次の電車が来ている。ホームで話して、電車に乗ってからも話して、降りてまた話す。遠かったけれど、道中そのものが楽しかった。
これから電車で行く人は、乗り換えの時間だけ先に調べておいたほうがいい。時間に余裕をもって出かけてほしい。
ホテルに着いてチェックインを済ませたら、まっすぐお風呂へ向かった。
金剛乃湯は独特の香りがするお風呂だった
お風呂の名前は「金剛乃湯」。入ってすぐ独特の香りがした。あとで調べたら、地下1,300メートルから汲み上げた天然温泉100%で、塩分がとても多いお湯だった。あの香りは塩分のせいだと思う。
お湯は緑がかっていて、うっすら濁っている。透明ではない。
じんわりとよく温まるお湯で、入浴後も湯冷めしにくい。肌もなんとなくしっとりした感じがした。
露天風呂もあった。岩風呂のような造りで、そこまで広くはない。内湯はそれなりに人がいたのに露天のほうは少なくて、ゆっくり入れた記憶がある。
リバーサイドホテルという名前だけれど、露天から川が見えたかどうかは覚えていない。

友達が湯治のまねっこに挑戦
友達は湯治のことをほとんど知らなかったので、私の入り方を見ながら「まねする!」と言い出した。
ゆっくり温まってから水風呂へ。
「むりーーー!!」
大騒ぎだった。「無理しなくていいよ、足だけでもいいよ」と言うとおそるおそる足を入れて、
「みて、ここまで浸かれた!でもこれ以上はむりーー!」
と足首あたりで大はしゃぎしていた。そこからは段階的だった。次はひざ下まで、そのあとは太ももまで。入るたびに「つめた――いっ!」と大騒ぎになる。
そして最後には肩まで一瞬だけ浸かっていた。
私はもう水風呂に慣れているので初めて入る人はこんなにも冷たさに驚くのかと思った。あまりのはしゃぎっぷりに可笑しくなって、二人で笑いながらのお風呂になった。
そしてやっぱり肌は水に慣れていくんだなと、友達の様子を見ながら思っていた。
一泊で、五回入った
チェックインしてすぐ、夕食のあと、寝る前、早朝、そしてチェックアウトのあと。
最後の一回は、チェックアウトのときに「このあとも無料で入れますよ」と教えてもらったので、もう一度入ってから帰った。
全部、二人で入った。一泊なのに五回。湯治ごっこと言いながら、けっこう本気で入っていたと思う。
夜は部屋でとことんおしゃべり
夕食のあともまたお風呂に入って、部屋に戻ってからは夜更かしだった。
お互いに結婚して30年近くになる。夫婦のこと。これからの働き方。自分らしく生きていくには、どっちへ向かえばいいのか。
長くいれば円満なことばかりではない。「色々あったよね」という話にもなった。それでも雨降って地固まるで、今は落ち着いたよねとお互いに笑えた。
しゃべっているうちに、自分の考えが少しずつ整理されていく。頭の中にあるだけでは形にならないことが、口に出すと形になる。
学生のころのように夜遅くまで話した。あらためて、この人はこういう人だったんだ。そう思える時間だった。

帰りも、同じ道をたどった
帰りは行きとまったく同じ道をたどった。乗り換えも、待ち時間も同じ。
奈良駅までは本当に田舎道が続く。車窓を眺めながら、行きと同じようにずっとしゃべっていた。
別れぎわ、どちらからともなく言った。
「また一緒に旅行しようね」
あれからまだ実現していない。タイミングが合って、お互いの気持ちがまた同じ方を向いたときに行けたらいいなと思っている。
あれから友達も、温泉に行くようになった
あの旅のあと、友達は夫婦でよく温泉に行くようになったそうだ。この間会ったときも「色々いってるよー」と報告してくれた。
水風呂で「むりーーー!」と大騒ぎしていた人が、今は自分から出かけている。
誘ってよかったと思う。
温泉は体だけじゃなく、気持ちも整えてくれる場所だと思った
私にとって温泉は体の調子を整えるための場所だけど、この旅でもうひとつ気づいたことがある。
ゆっくりとした時間の中でしゃべると、日常では出てこない話ができる。お風呂で体がゆるんで気持ちもゆるんで、ふだん言葉にしないことが自然と出てくる。
温泉は体だけじゃなく、気持ちも整えてくれる場所なのかもしれない。
金剛乃湯リバーサイドホテルに泊まってみたい方へ
奈良・五條市にある温泉宿です。天然温泉100%の金剛乃湯に、内湯と露天風呂。ほかにサウナ、水風呂、ジェットバスも。
💡 湯治でゆっくり滞在したい人へ。長く泊まるなら、素泊まり・連泊割引・自炊できる部屋(キッチン付き)があるか、予約のときにチェックするのがおすすめ。食事つきの宿でも素泊まりプランがあることが多く、連泊だと割安になることもあります。
予約は、この記事の楽天トラベル・じゃらんのリンクから。「素泊まり」「連泊」で絞り込んで探せます。
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施設データ
- 施設:リバーサイドホテル 天然温泉 金剛乃湯(奈良県五條市)
- 泉質:ナトリウム-塩化物泉系。地下1,300メートルから汲み上げている。掲示を自分で確かめていないので、正式な泉質名は未確認(調べると「ナトリウム-塩化物泉」と「ナトリウム-塩化物炭酸水素泉」の両方が出てくる)
- 源泉温度:未確認。調べると26.5℃と28.4℃の二つの数字が出てきて、どちらが正しいか分からなかった
- 濃さ:溶存物質は約35,000mg。単純温泉の基準が1,000mg未満なので、その35倍ほどの濃さになる。塩化物イオンが約19,000mg、炭酸水素イオンが約2,700mg(いずれも複数のサイトで見た数字で、掲示は未確認)
- 色:緑がかった、うっすら濁ったお湯
- 香り:独特の香りがある(本文のとおり)
- 加水:なし
- 加温:あり(源泉が30℃に届かないので、そのままでは入れない)
- 循環ろ過:あり
- 消毒:未確認
- 浴槽:内湯、露天風呂、マッサージシャワー、ジェットバス、サウナ、水風呂
- 水風呂:あり(温度は未確認)
- 浴槽の深さ:未確認
- 日帰り料金:平日 大人(中学生以上)800円・子ども(5歳以上)400円/土日祝 大人900円・子ども450円
- 営業時間:10時〜23時(最終受付22時15分)。毎月第1火曜日が休み
- アメニティ:あり
- 駐車場:あり
- 犬:不可
※2026年8月に調べたものです。料金や設備は変わることがあるので、おでかけ前に公式サイトでご確認ください。「未確認」は、次に行ったときに現地で確かめます。

