朝の水シャワーを一年続けている。冬の日中の寒さがマシになる話は前に書いたのだけれど、10月になってそれがもう少しはっきりした形で出てきた。
今、夫は長袖を着ている。私は半袖で一日を過ごして、パジャマも半袖で掛布団も夏のままだ。同じ家にいて同じ気温の中にいるのに、着ているものが違う。
数年前なら逆だった。夫よりも先に私が長袖を出していたので、自分でも不思議に思っている。
▷ 冬の朝、水シャワーを浴び続けたら寒さに強くなった話|自律神経とヒートショック
嫌だと思う朝ほどテンションが上がる
寒くなってきたので、浴びる前に「いやだな」という気持ちが出てくるようになった。ところが面白いもので、その「いやだな」が出るくらい寒い朝のほうが、浴びたあとのテンションが上がる。夏は浴びても気持ちがいいだけで、ここまでは上がらなかった。
これからもっと寒くなれば、いやだと思う気持ちももっと大きくなるはずだ。そうなるとテンションの上がり方も交感神経のスイッチもしっかり入るはずなので楽しみではあるのだけれど、冷たさを考えると怖くもある。
▷ 冷たい水は息を吐きながら浴びる|止めると血圧が上がると知って変えた
震えずに熱を作る仕組みが体にある
体が変わってきたのはなぜなのか、気になって調べてみた。
褐色脂肪細胞のことは、去年に南山さんの話を聞いてから意識している。熱を作る細胞で、背中や脇の下にあると知っていたので、水風呂では首までしっかり浸かるようにしてきた。
今回知りたかったのはその先になる。あの細胞はどうやって熱を作っているのか。そして使っていると増えるのか。
ふつうの細胞は、食べたものから体の電池を作っている。熱はそのついでに少し出るだけになる。ところが褐色脂肪細胞は、電池を作る手間を省いて、はじめから熱だけを出すことができる。
だから寒いときに、震えなくても体が温まる。寒いと感じると交感神経が働いて褐色脂肪の中で脂肪が分解され、出てきた脂肪酸がそのスイッチを直接押すらしい。
電池を作る係はミトコンドリアで、褐色脂肪細胞のミトコンドリアだけが、この熱専用の仕組みを持っている。ミトコンドリアそのものの話は長くなってしまったので、別の記事にまとめてある。
▷ ミトコンドリアは元は別の生き物だった|基本の3つが抜けていたから腹落ちしなかった
繰り返すとその仕組みが育つ
ここからが知りたかったところだ。この仕組みは、使っていると育つ。
7人の人に、14℃の水に1日1時間、7日間つかってもらった研究がある。たった一週間で、震える量が36%減った。それなのに体が出している熱の量は変わらなかった。
つまり震えるという方法をやめて、別の方法で同じだけ熱を作れるようになったということになる。
別の研究では、17人に15〜16℃の部屋で1日6時間を10日間過ごしてもらっている。褐色脂肪の量も働きも増えて、震えずに熱を作る力も一緒に増えていた。しかもこの研究では、男女で差がなかった。
前の記事に、私は一年前にこう書いていた。
面白いくらいに、寒くて震えることがない。
自分の体で感じていたことが、そのまま研究に出ていた。震えなくなったのは我慢が上手になったからではなくて、熱の作り方が変わったからだった。
背中と脇の下から冷やす
褐色脂肪があるのは、首のまわりと背中と脇の下になる。
水風呂では背中や脇の下まで浸かるといいと教わって、ずっとそうしてきた。あのとき言われたことの中身が、やっと分かった。首まで浸かれば、いちばん多いところを冷やせる。
家のシャワーでも同じで、私は手足の先から始めて、最後に首の後ろと背中へ回すようにしている。
調べたあとも、浴び方は何ひとつ変えていない。教わったとおりにやっていたことが、そのまま正解だった。変えるところがないと分かって、これからも安心して続けられる。
▷ 私の水風呂の入り方|温泉で体を芯まで冷やす温冷浴のやり方
▷ 冷え性なのに水風呂?|冷え性の人が、どこから始めればいいか
体形のことも聞いていた
南山さんは、褐色脂肪を働かせて体形を維持している人がいるという話もしていた。体形を保っている人の中には、冷たい水を使っている人もかなりいると思う、とも。
調べてみると、それらしい研究があった。
褐色脂肪があまり働いていなかった22人に、17℃くらいの涼しさで1日2時間、6週間過ごしてもらう。すると褐色脂肪の働きが増えて、体脂肪が減っていた。しかも褐色脂肪が増えた人ほど、よく減っていた。
たまたま両方が動いたのではなく、二つがきちんと対応していたことになる。
正直に言うと、私が一年続けてこられた理由のひとつがこれだ。褐色脂肪が増えれば、いまの体形から変われて、その先を保っていけるかもしれない。そう思って浴びてきた。
思い込みは続けるための道具
無理かもしれない、とは意識して思わないようにしている。思い込んで、明るいほうを呼び込みたい。
そう書くと気休めのように聞こえるかもしれないけれど、調べてみたら思い込みはちゃんと働いていた。
薬だと言ってラムネを渡しても、飲んだ人の具合が本当によくなる。プラセボ効果という名前で、聞いたことがある人も多いと思う。何度も確かめられていて、感じ方は確かに変わっている。しかも「これは偽薬です」と正直に言って渡しても効いたという研究まであるらしい。
悪いほうの思い込みのほうが強い
面白いのはここからで、「効かない」「悪くなる」と思っていると、そのとおりになる。しかもこちらのほうが、良いほうの思い込みより強くて長く続くそうだ。
そして、くよくよし続けること自体が体を弱らせる。長く続くストレスがあると風邪をひきやすくなり、ワクチンが効きにくくなり、傷の治りも遅くなる。年を取るほど影響が大きいらしい。
気にしない人のほうが長生きすることがある
これで腑に落ちたことがある。
健康に気をつけている人が先に逝って、好きなように食べて飲んでいる人が長生きする。そういう話をときどき聞く。不思議だと思っていたのだけれど、くよくよしないこと自体が効いているのかもしれない。
運次第だと思っている人でも、そこで悩まない人はストレスが少ない。気にしすぎる人より、体には楽なのだと思う。
だから思い込んでいる
浴びると寒さがマシになると思い込んでいたから、私は一年浴び続けられた。思い込みが体を変えたのではない。思い込みが続けることを可能にして、その一年が体を変えた。
震えなくなったのは、本当に起きたことだ。体形のほうは、これからだと思っている。いいほうに思っておけば、そのぶん長く続く。続けばいつか答えが出る。
▷ 三日坊主ではないのに続かない|休んだあと戻れる人と戻れない人の違い
ただ、思い込みで変えられるのは感じ方のほうで、体の数値は別に手当てが要る。気持ちを前に向けておくことと、おかしいときに測ってもらうことは、どちらかではなく両方だと思う。
← 前の記事:ミトコンドリアは元は別の生き物だった|基本の3つが抜けていたから腹落ちしなかった
→ 次の記事:押しても戻らない足のむくみ|知れば怖くなくなる

